・家畜の餌にしかならない植物しか生えない土地で牧畜をするのと違い、農耕文化がある国に新たに肉食文化を広めるのは、資源・エネルギー的にかなり非効率です。アメリカなどの牛肉・飼料市場のターゲットとなっている中国などで今後、牛肉食嗜好人口が億単位で増加すると、環境資源がパンクすると懸念されています。現在、すでに石油の高騰も始まっていますが、代替燃料のエタノールを作るためのサトウキビも取り合いになっています。身近なところでは和菓子も値上げされたそうです。
・食料難で困っている国がたくさんあるにもかかわらず、現在、穀物総生産量の2/3は家畜の餌として使われています。畜産には農産の20倍の飼料、100倍の水を要します。栽培できる作物の種類にもよりますが、単純計算で同じ広さの土地の場合、放牧するより穀物を作ったほうが牛肉の8倍、豚肉の6倍、鶏肉の4倍の食用たん白質を生産できると言われています。
・途上国では食肉の輸出のため放牧地を拡大し、大規模な森林伐採を行っています。森林が減るという事は、二酸化炭素を処理してくれる木々が減ることでもあり、雨水を蓄える森林がなくなるということです。地球の温暖化がはじまり、一部の地域には集中的に雨が降って大規模な洪水や干ばつが起こったりしています。
・畜舎から出る汚水・汚物は、汚染度が家庭排水の10~数100倍で、多くの場合、下水処理やリサイクルはなされません。抗生物質を使っている場合、リサイクルされて作られた肥料にも抗生物質が含まれることになります。(有機農法をしていても、このような抗生物質が含まれる肥料を使った場合、普通に栽培される以上に残留薬品を含んだ野菜が出来上がります)
・20世紀後半に入って大気中のメタンの濃度が急速に増加しています。メタンは温室効果をもたらし、その環境への悪影響はCO2の数十倍にも達します。
現在、世界でのメタン発生量は4.0~6.4億トン、うち人間活動によるものは約60%にも上ります。この中でメタン発生源のトップは水田で1.1億トン、2位は家畜の放出するゲップ0.8億トンです。1頭あたり最もメタン発生量の多い動物はラクダおよび牛で、人間の1,000倍にもなります。
地球温暖化により永久凍土が溶けると、さらに溶け出した凍土から土壌のメタンが放出されます。その量は普通の湿地の1,000~10,000倍にもなります。